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2010年8月12日木曜日

これこそがアスベスト患者さんの現状(まずは救済法の説明)

さて、これは記録しておかねばと思ったことを書いておきます。

昨日から石綿(アスベスト)健康被害救済法の給付を受けておられる方たちへのインタビューを開始しました。このインタビューは来年春に法改正が予定されている本法律の議論の材料として身内だけでなく、多くの方に患者さんやご遺族の状況を伝えて、より充実した給付体系・内容へと変えていく契機にしたいと考えています。

その前に、救済法のことを少し。この救済法は名前のとおり「救済」の法律です。国や企業からの「補償」を前提とした法律ではありません。公害健康被害補償法とは性格が違います。この法律はいわゆる非労働者を対象とした法律です。例えば、どこかの工場で正社員として働き、工場で扱っていたアスベストが原因の病気になったのであれば、労災補償補償や企業独自の上積み補償などを受けられる場合もあります。少なくとも労災補償は、国が運用する法律に基づいた制度なので一定の認定基準をクリアすれば医療費・遺族年金などの給付を受けることができます。

さて、2005年の兵庫・尼崎が当該地域となったいわゆるクボタショック。ここで問題となったのはクボタの工場(アスベストを原料にして水道管をつくっていました)で働いていた人以外、工場周辺に居住・通勤していた人の中にも工場から飛散したアスベストでがんの一種である悪性中皮腫や肺がんを発症している人がいることが明らかとなったのです。
そこで問題となってくるのが、これらの人々はクボタの従業員ではないことから労災の対象とはならなず、なんらの救済や補償も受けられていない状態にありました(さまざまな評価はありますが、のちにクボタはおそらく日本の公害問題史上もっとも手厚い救済制度を創設しました。その内容から私は補償制度と同一のものと判断しています)。

クボタの周辺住民の方の例をあげましたが、アスベスト被害で恐ろしいのは、クボタのように居住地や勤務地近くにアスベスト飛散工場があって被害にあう明確な「公害型」(ちなみに政府、もっと言えば環境省はアスベスト被害を公害とは認めていません。ぜひ環境省石綿対策室に電話で確認してみてください。「公害です」といったら教えてください)のほかに、被害にあう覚えがなかなか特定できないような事例もあります。アスベストが3000種類もの製品に使用されていたという一説があり、原因の特定が困難である事例が発生する理由の一つです。ただ丹念に話を聞けば、ほとんどの被害はある程度の原因は特定できるような気がします。

ともかく雑ぱくに言うと、そのような何の法的な支えがない方を対象に創設されたのが本法律です。
この法律では療養中の方には自己負担分の医療費が支給され、毎月10万弱の療養給付が支給されます。療養者が亡くなった場合は約20万円が遺族に支払われます。
救済給付の申請時に被災者が亡くなってしまっていた(あるいは申請中に亡くなってしまった)遺族には特別遺族弔慰金として280万円と特別葬祭料の約20万円が支払われます。

とまぁ、給付内容の説明はこのくらいにして昨日お話を伺ったTさんの事例をみてみましょう。給付が患者さんにとって十分なものかそうでないかの判断はそれからにしてくださいね。

ダダダダだぁーっと書きたいところですが、ひとまず休憩。

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